
長く続く経済不況や少子化により次世代への負担を軽減する直送や家族葬などのシンプルかつコンパクトな葬送方法が主流となっています。関東地方では、2013年の統計で5件のうち1件が直葬で行われており、関西地方では火葬後の遺骨すら火葬場に処分を依頼するゼロ葬も増加しています。
中野区で増加しているシンプルな葬儀
関東地方では、2013年の統計で全葬儀件数の約20%以上が通夜も告別式も執り行わない直葬が占めており、東京23区内ではさらに直葬の占める割合がたくなっているのが現状です。
背景には、戦後の高度経済成長期の集団就職による大都市圏への人口集中に起因する檀家制度の崩壊があり、檀家制度の崩壊は菩提寺との関係を希薄にしてしまい団塊の世代を中心に宗教観に大きな変化をきたしてしまいました。
結果、次世代に負担をかける盛大な葬儀よりもシンプルかつコンパクトな葬儀を望む高齢者が全体の8割を占め、直葬に特化した業者も増加傾向にあることから価格破壊も起こっています。
中野区は、2030年までの高齢者人口のよそう増加率は約5%と東京23区で渋谷区と杉並区に次いで第3位と非常に高いだけでなく、75歳以上の単身世帯が現在よりも約20%増加して14,000世帯を超えるとされています。そのため、一般葬を執り行った場合にも故人の知人も高齢で参列できない場合が多く、家族葬や直葬を執り行った場合と参列者数が変わらない場合が多いのが現状です。
シンプルな葬儀を執り行うメリット
一般葬は、葬式仏教の慣習に従って参列者や弔問客の数を決めることなく執り行われ、名前すら知らない故人の知人の参列や弔問を受けて心身ともに疲れてしまいます。
遺族達は、僅かに残された時間で故人を偲ぶべき時間を葬儀を無事取り行うことに全力を費やしてしまう理不尽な状態にありますが、シンプルな葬儀は弔問客や参列者の数を遺族がコントロールすることができ、特に直葬は通夜も告別式も執り行わないので参列者や弔問客に心身をすり減らす必要がありません。
そのため、遺族は大切な人を亡くした最悪の精神状態を故人との思い出や親族との故人を偲ぶ話で癒すことができ、本当の意味での故人への手向けを行うことができるメリットがあります。
また、直葬は火葬場を併設している斎場の霊安室に直接故人の遺体を搬送することが可能であり、無駄な移動時間や埋葬後の自宅の片付けなどの必要がないだけでなく負担が大きく軽減できます。親族は、大きな駐車スペースが確保されている斎場に足を運び火葬が終わるまで待つだけと暇を弄ぶほどであり、所要時間は長くて2時間~3時間程度と半日かからず終了するのが直葬の大きなメリットです。
シンプルな葬儀を執り行う経済的メリットと宗教的なデメリット
直葬や家族葬などのシンプルな葬儀は、故人の知人がどれだけ来るかわからない従来の一般葬とは大きく異なり、遺族が参列者を親族と極限られた故人の知人だけに制限することができるので経済的メリットが非常に大きい葬儀です。
特に直葬は、通夜も告別式も行わないので通夜のための祭壇や通夜振る舞いなどの必要がなく、告別式も執り行わないので告別式の会場となる斎場や祭壇を中野区でレンタルする必要がないので一般葬の数分の1の費用で執り行うことができます。
また、遺族と親族の極限られた人で執り行うことも多いので対外的な体裁や見栄をはる必要がなく、葬式仏教の慣習に従う必要がないので高額の費用を必要とする僧侶の読経や戒名の授受を省くこともできるのでさらに経済的メリットが大きくなります。
しかし、古い考え方を持った高齢の親族からは故人を冒涜していると強い言葉で非難されるリスクが大きなデメリットですが、世間の流れがコンパクトかつシンプルに向かっているので事前に説明して理解してもらうしかありません。
中野区は、2045年まで年間の死亡者数が増加し続ける一方で区民の高齢化率が東京23区で第3位と非常に高く、故人の知人も故人もしくは身体の自由がきかず参列出来ない可能性が高いので直葬や家族葬などのシンプルな葬儀の需要が高まります。
直葬は、通夜も告別式も執り行わないので経済的メリットが大きいだけでなく遺族の心身への負担が少ない一方で、シンプルな葬儀を受け入れ難い高齢者もいるのがデメリットです。