通夜は、日本の葬儀文化において重要な儀式のひとつです。故人をしのび、家族や友人が集まって別れを告げる場となります。しかし、最近では通夜は行わず、葬式のみ執り行うケースが増えています。当記事では、通夜が行われる目的や近年の葬儀形態についてご紹介します。通夜を行わない場合の注意点もまとめているのでぜひ一度ご一読ください。
通夜は必ず行うもの?通夜の目的とは
通夜は、一般的な葬儀の一部として執り行われる重要な儀式です。
通夜は故人を偲ぶ機会です。故人と親しかった方々が集まり、故人との思い出話をしながら、感謝の気持ちや新たに進んでいくための時間を共有できます。
ゆったりとした夜の時間に、故人とのエピソードや経験を語り合いながら、故人の存在を深く感じたり、故人との出会いに感謝する場にもなります。また、通夜は故人を送り出す準備を行う儀式でもあります。
もともと、通夜は故人と親しかった人々が一晩中灯りを絶やさずに遺体を守る伝統的な儀式であり、通夜を通じて、遺族や参列者が故人の死を悼み、心の準備を整えます。多くの人が集まる通夜の夜という静かな時間は、最後の別れをより深く、意味のある特別な一日にします。
通夜なしを選択する理由
通夜を行うタイミングは葬式の前が一般的とされていますが、最近では一日葬と呼ばれる形式が注目されています。
一日葬とは、通夜を行わず、葬儀と告別式を一日で執り行う形式です。通夜なしを選択する理由として、次のような理由が挙げられます。
遺族の体力的な負担を減らすため
通夜は、故人を偲ぶために故人と親しい方や知人、職場の関係者など多くの人が集まる場です。
通常は夕方から夜にかけて行われ、ときには夜遅くまで続く場合もあります。そのため、大勢の方への挨拶に時間がとられ、故人との時間をゆっくり過ごせなくなる可能性が高くなります。
また、通夜ぶるまいと呼ばれる食事や飲み物の接待もあり、ご遺族にとっては負担が増える原因。とくに高齢者にとって連日の長時間に及ぶ参列は体力的にも大きな負担となります。遠方に住む方なら、仕事を休んだり宿泊施設や交通手段の手配も、さらに負担を増やす要因となります。
上記のような状況を考慮し、ご遺族の体力的な負担を減らすために通夜を省略し、一日葬を選択するケースが増えています。通夜を省くと、葬儀の準備や進行がシンプルになり、ご遺族は落ち着いて故人との最後の時間を過ごせるのです。
葬儀にかかる費用負担を減らすため
通夜を行うと、通夜ぶるまいの準備や参列者への返礼品、さらには会場費用など、さまざまなコストがかかります。
葬儀費用は家庭の経済状況や遺族の考え方によっては大きな負担となるため、費用を少しでも抑えたいと考える方も多いと思います。とくに近年の社会情勢や経済状況を背景に、葬儀にかかるコストを見直す動きが広がっています。
通夜を行わない葬儀を選択すれば、通夜にかかる費用を削減し、無理のない範囲で葬儀を行えます。
通夜を行わない場合どんな点に注意すべき?
葬儀において、通夜を必ず行う必要はありません。
しかし、通夜を省略する際にはいくつかの注意点があります。
参列できない人が増える
通夜は故人との最後のお別れの機会として重要な役割を果たしています。
とくに、平日の日中に働く方々にとっては、通夜は夕方以降に参列できる貴重な時間です。通夜がなければ、葬儀後の休日に個別の弔問が増え、遺族がその対応に追われます。
親族から不満が出る恐れがある
古くからのしきたりや伝統を重んじる親族からは、通夜を行わない決定に対して不満が生じる場合があります。
通夜は故人との最後の別れを惜しむ場と考える方も多いので、親族間で理解を得るための事前の話し合いが必要です。トラブルを避けるためにも家族や親族の話に耳を傾け、きちんと自分の気持ちを伝え、了承を得ておきましょう。
コスト削減につながらないケースがある
通夜を省略しても費用の節約にならない場合があります。
多くの弔問客が見込まれる場合、通夜の省略により香典収入が減少する可能性も考慮するべきです。支出と収入のバランスを見極めて判断しましょう。
まとめ
通夜は必ず行うものではありませんが、故人をしっかりと送り出し、遺族や参列者が心の整理をするには、有意義な時間です。通夜を行わない選択する理由として、遺族の体力的負担を減らすためや経済的な理由が挙げられます。通夜を通じて、故人との最後の貴重なひとときを過ごし、心を込めたお別れの時間を持つことが、後悔のない葬儀につながるでしょう。