近年、葬儀のスタイルは多様化し、従来の仏教式葬儀にこだわらない選択肢が増えています。僧侶を呼ばない葬儀も増えており、それぞれの事情や価値観に応じた柔軟な対応が可能です。本記事では、僧侶が不要なケースや僧侶を呼ばない場合の葬儀で気をつけたいポイントについてくわしく解説します。
そもそも葬儀のときに僧侶を呼ぶのはなぜ?
現代の日本では、葬儀の約4分の3が仏式で行われており、僧侶を呼ぶことが一般的です。
その理由は、仏教の教えにもとづいて故人の供養と成仏を祈るためです。僧侶はお経を唱え、戒名を授けることで、故人が安らかに成仏できるよう導きます。普段は無宗教と感じる人も、葬儀に際しては仏教の伝統に従うことが多く、これは日本の文化や習慣に深く根ざしています。
僧侶の存在は、家族や参列者にとっても故人との別れを静かに受け入れる時間を提供し、遺された人々の精神的な支えとなっているのです。
自由葬なら僧侶を呼ばなくてもOK!
近年、葬儀の形式は多様化しており、その中でも「自由葬」が注目されています。
自由葬に特別なルールなどはありません。宗教的な儀礼や形式にとらわれず、故人や遺族の意向を最大限に反映した葬儀のスタイルです。そのため、必ずしも僧侶を呼ぶ必要はありません。もちろん、宗教色がタブーというわけではなく、読経やお焼香など、仏式を取り入れることも可能です。
自由葬は、無宗教の方や仏式以外の信仰を持つ方、あるいは特定の宗教にこだわらない方にとって魅力的な選択肢といえます。たとえば、故人が生前に好んでいた音楽を流したり、音楽の生演奏や生前好きだった花を捧げたりと、個性的で心温まる葬儀を実現できます。
また、故人の趣味や仕事に関連する道具を飾ることで、その人らしさを感じることができ、思い出深い時間を過ごすことができます。自由葬は形式に縛られず、故人や家族の思いを大切にしたいと考える方々にぴったりの葬儀スタイルです。
宗教儀礼がなくても、心からのお別れができる自由葬は、新しい時代の葬儀のあり方を示しています。
僧侶のいない葬儀を行う際に注意したいこと
僧侶を呼ばない家族葬や無宗教葬は、近年増加している葬儀のスタイルです。
しかし、このような葬儀を行う際には、いくつかの注意点があります。
菩提寺との関係性と納骨先の確認
先祖代々お付き合いのある菩提寺がある場合、僧侶なしで葬儀を行うことが菩提寺との関係に影響を及ぼす可能性があります。
そのため、菩提寺との関係性と納骨先の確認が必要です。もし菩提寺にお墓がある場合、そのお寺の僧侶から戒名を授かる必要があり、それがなければ納骨が許可されないことがあります。事前に菩提寺に理由を説明し、納得を得ることが重要です。
親戚への説明
葬儀は故人と遺族だけのものではなく、親族や友人にとっても大切な儀式です。
とくに年配の親戚にとっては、僧侶の読経がある葬儀が一般的であり、これがないと故人を十分に供養できないと感じる場合があります。葬儀の形を変える場合は、事前に親戚に説明し、理解を得るように努めましょう。
自由葬を行う理由を明確にする
自由葬を選ぶ理由を明確にすることは大切です。
費用の面だけを考慮して安易に選択するのは避けたほうがよいでしょう。自由葬では、宗教儀礼がないために場の区切りが曖昧になり、葬儀全体が寂しく感じられることがあります。葬儀は、参列者が故人と向き合い、感謝の気持ちを込めて見送る場です。
遺族全員で「どのように故人を送り出すのが最善か」を真剣に話し合うことが、温かい見送りを実現する鍵となります。
まとめ
近年、葬儀のスタイルが多様化し、僧侶を呼ばない自由葬が増加しています。仏教式の葬儀では僧侶が供養と成仏を祈る役割を果たしますが、自由葬では宗教的な儀礼や習慣などにとらわれず、故人や遺族の意思を反映した葬儀を行うことが可能です。しかし、菩提寺との関係や親戚への説明が必要で、理由を明確にし、遺族全員で故人をどう送り出すかを話し合うことが重要です。